IT技術の発展とともに私たちの暮らしはどんどん便利なものになっていますが、便利さが増すほどに起こりがちなのが、機械や情報に振り回されるという現象です。
技術や情報はあくまでツールでしかないので、本来の目的は見失わないようにしたいですね。
今回は、そんな教訓を踏まえてのお話しです。
膨大な情報「ビッグデータ」を、上手に活用している好例について紹介をさせていただきます。

「Pontaカード」で集まる膨大な情報

言わずと知れたコンビニ大手のローソン。全国に展開している約14,000(2018年2月末時点)の店舗から、ポイントカード「Pontaカード」を用いた情報を集約しています。ローソン1店舗あたりに毎日約1,000名の顧客が訪れ、そのうち「Pontaカード」の利用率は約5割というのですから、その情報は非常に膨大なものとなります。

コンビニはスーパーなどと比べても売り場範囲が極端に限られているので、死に筋商品を長く置くことは、店舗の売上に大きな影響を与えてしまいます。
ローソンでは売り場強化に力を入れており、強化に際してそれらの情報を活用しているのです。2015年よりローソンでは、セミオート発注という仕組みを導入しています。これは「Pontaカード」を利用して、店舗の発注を半自動化するというものです。全国から集まるデータを分析して、各店舗への発注量指示を行うのですが、この仕組みを導入した店舗では、売上が3%、利益が2%向上した実績があるそうです。

コンビニに求めるもの

最近、人々はコンビニに利便性だけでなく、美味しさなどの「商品の質」を求めるようになってきました。ローソンでは実店舗の購買データと、食に関するアンケート調査の結果を商品開発に反映しています。お客様が商品に求めることは何かを、常に追求しているのです。

ビッグデータ活用の本質

さて、そのような膨大な情報「ビッグデータ」を活用しているにも関わらず、ローソンは売上30位前後の商品(平成13年時点)の販売を続けています。
売り場面積の限られる店舗で、決して売れ筋とは言えない商品を売り続ける理由はどこにあるのでしょうか。実はそこに、ビッグデータ活用の本質があるのです。
2010年に導入した「Pontaカード」の情報を読み取ると、「1割のヘビーユーザーが6割の売り上げを占めている」ということが分かってきました。ローソンがFC向けに発注の目安として示している「商品力指数」も、実はリピート率を基準にしているのです。
売上31位の商品「ほろにがショコラブラン」は、売上データをただ読み取るだけでは、発注は止まってしまいます。ですがデータを分析すると、この商品は一部の女性からリピートされていることが分かりました。「ほろにがショコラブラン」はローソンにしかない商品で、品切れともなれば大切な顧客を逃すことになります(製造中止の後も、リニューアルして現在も製造を続けています)。

私自身、以前某大手コンビニの売り場からお気に入りのパンがなくなったことで、すっかり足が遠のいた記憶があります。単純な売上数だけでは、その商品の本当の支持率は判断できないのです。
コンピュータ技術の進歩は日々目覚ましいものでありますが、集積された情報に命を吹き込み活かすことができるのは、それを扱う人間だけです。
これからの時代、情報と分析の高いレベルでの融合が、企業の今後を大きく左右する要素となっていくのでしょう。

ビッグデータの活用で変わる わたしたちの未来 Part.1 はこちら
ビッグデータの活用で変わる わたしたちの未来 Part.3 はこちら
ビッグデータの活用で変わる わたしたちの未来 Part.4 はこちら

[執筆:ハル・クムラ
[最新更新日:2019年4月5日]