人々の治療に関して、現在までに数えきれないほど様々な研究が行われることで、医学は進歩してきました。
研究成果によっては、数年前までは常識であったことが覆ることも珍しくありません。
薬に関しても、今あるものが最良なのではなく、「より効果が高く」「副作用の少ない薬」を求めて製薬会社による研究が日夜進められているのです。

医学データは増え続けている

新たな仮説、実証と共に医学論文は日々発表され、公開データベースの情報も莫大なものとなっています。
創薬を行うにあたっての日常的な情報のチェックに費やされる時間も多く、研究者にとって大きな課題のひとつでした。
その問題をビッグデータとAIの力で解決するべく、株式会社FRONTEOが「創薬研究支援AIシステム」の提供を開始しました。

FRONTEOヘルスケアでは、2018年11月にベクトル演算を用いた自然言語処理技術を使った「Concept Encoder」による新規医薬品探索技術の提供を開始し、現在まで複数の製薬企業に導入されています(※下図「導入企業の反応」を参照)。医薬品開発に従事する研究者が、自らの新しい仮説と公開データベース情報にある文献の記載内容との関連を調べたり、仮説と関連しそうな疾患や同じような遺伝子を変動させる薬との関連を探索し、創薬のターゲット候補の発見に利用されています。

「Concept Encoder」を用いた創薬研究支援AIシステムは、この新規医薬品探索技術をベースに、文献や遺伝子発現などの情報を含むデータベースをあらかじめパッケージ化し、クラウドサービスとして提供することで、より手軽に製薬企業の創薬研究における候補化合物発見のスピードアップを支援するものです。

創薬研究支援AIシステムの主な特徴は、以下のとおりです。

1. 創薬の調査過程で活用が必須となる、MeSH(*1)タグ付きのPubMed(*2)論文1,400万と、Open Targets(*3)のデータ170万をデータベースとして備え、AIエンジン「Concept Encoder」があらかじめデータを学習済みで、即時に探索・解析が可能。

2. 申し込みから最短で約1週間での利用開始が可能(クラウドサービスの場合)。オンプレミスやプライベートクラウドでの導入・利用も可能。

3. ベクトル演算によるAI解析を行うため、辞書登録型のAIと比べ、使用方法が検索ツール並みに容易。

4. 処理が軽いため、オンプレミスの場合、数百万円レベルのサーバー(*4)で稼動が可能で、スーパーコンピュータや大規模サーバー群などの大型設備が不要。

5. 従来の創薬研究では、仮説から開発承認まで約3-4週間かかる時間を大幅に短縮できる効果が見込まれる。(※下図「従来との違い」を参照)

製薬企業の医薬品研究開発部門では、創薬研究において、論文情報と公開データベースのチェックを日常的に行い、開発に関連する情報を更新することが不可欠となっています。一方、国内外の医薬研究の動向をタイムリーに追い続けるために、研究者の時間と労力が多大に費やされる点が大きな課題ともなっています。

創薬研究支援AIシステムは、PubMedとOpen Targetsの定期的に更新された最新のデータベース情報と論文のテキスト情報を学習させてあるため、研究者が自らの仮説を自然文で作成し、入力するだけで、仮説に関連する最新の論文やターゲット遺伝子ネットワーク等との関連性の強さがスコア(数値)で可視化されます。またカスタマイズにより、製薬企業が過去保管してきた文書データを読み込ませて、活用することも可能です。

従来の論文解析で用いられてきた辞書型や文法学習型のAIは、使用するために研究者がコーディングの知識を学ぶ必要があったり、常に単語と意味のデータベースのアップデートが必要でした。さらに初期のトライアルやPoC(概念実証)には、何ヶ月もの期間と大規模な予算が必要と言われていました。

創薬研究支援AIシステムは、人工知能エンジンConcept Encoderの特徴であるベクトル演算を用いることで、単語や文書同士の関連や類似度を数値化できるため、辞書では定義しにくい曖昧な概念もベクトル化で関係を表すことができ、データベースの頻繁なアップデートが不要です。また、解析には、近似式を用いるため、解析やデータのアップデートにはマシンパワーが軽く済むことも使いやすい点です。まるで検索ツールのように、自然文を入力し、例えば、「ガンは除く」といった不要な要素を自在に引き去り、差分を抽出の対象とした解析が可能な、取扱いやすさも特徴の1つです。

FRONTEOヘルスケアでは、今後さらにConcept Encoderを軸とした情報解析ソリューションの提供を広げ、ヘルスケア業界全体の発展に貢献してまいります。

現代医学において、薬は必要不可欠なものです。
ひと昔前であれば手術が必要であった病気であっても、投薬のみで治療が完了するものも増えてきました(参考:製薬協)。
患者の負担が減り、今までは助からなかった患者も救えるようになれば、人生100年時代も健やかに楽しむことができそうですね。
AI技術の活用による医学・薬学の進歩に期待です!

※引用元の記事の主張と、本記事の主張内容は関係ありません
[執筆:ハル・クムラ
[最新更新日:2019年7月8日]