では、再開します。

脚気という病気は、ビタミンB1の欠乏が原因で、発症すると、体がだるくなって食欲が減退、足がむくんで、運動すると動悸になる。悪化すると心臓麻痺で死に至るという怖い病気です。

とても戦うどころじゃないわけです。

“おかしな話やな。軍隊ゆうたら、どんぶり飯を腹いっぱいに食うてたんやろ。栄養満点やったんちゃうんか”

実にそこなんですね。そのどんぶり飯がよくなかった。それから、まだ明治時代にはビタミンの存在が知られてなかったんです。

だから、脚気になっても原因がわからない。当時、西洋人の医師が日本に来ていたんですけど、ヨーロッパに脚気という病気はなかったので、彼らも原因がわからなかった。日本に来て初めて診る病気だったわけです。

しかし、どんな世界や状況においても救世主というのが出てくるわけですね。

明治5年(1872)に海軍軍医となった高木兼寛という人が、徹底的な調査・分析を行って、食事に原因があるのではないかと考えたわけです。

当時の兵食は、兵士一人が何と1日白米6合を食べていたんですね。難波さんが仰ったとおり腹いっぱい食べてた。ところが、副食がお粗末で、具の無い味噌汁と漬物だけだった。

それでも、美味しい白米がお腹いっぱい食べられるわけですから、みんな大満足だったんです。これ以上の贅沢はない。ここに大きな落とし穴が潜んでいたんですね。