セイバーメトリクス
毎年ペナントレースが始まると、大きな盛り上がりを見せるプロ野球。
特に世界トップクラスの実力ということもあり、毎年ハイレベルな試合を見られるのがプロ野球の醍醐味でしょう。

セイバーメトリクスが野球を進化させた

最近日本のプロ野球でよく聞かれるようになった「セイバーメトリクス」。
具体的にどういうもので、どのように野球に活用されているのでしょうか。

セイバーメトリクスとは、野球におけるデータ(選手成績、試合の結果、球場のスペックetc…)を統計学的に分析を行い、選手の能力、チームの強さなどといった事を分析、チームの経営や戦略に役立てる手法や考え方のことです(引用元:https://shinyorke.hatenablog.com/entry/2014/08/03/142506)。
膨大な選手の情報を集めて活用する、一種のビッグデータですね。
セイバーメトリクスにより、打率、ホームラン、打点のような今までの数値だけではわからない選手の真の評価ができるようになりました。

筆者は、佐藤浩市さん主演の「ルーズヴェルトゲーム」を見てセイバーメトリクスに興味を持ちました。
速球や長打といった目立つ能力を持たない選手でも、ポジショニングや戦略によって勝利を収めることができる、資金力のない球団にとって画期的なデータ戦略手法なのです。

野球とビッグデータの親和性


野球とビッグデータの親和性は非常に高いと言えます。
なぜかというと、例えば何が明確な有効打になったか分かりにくい格闘技などと比較して、野球は選手のアクション一つ一つを全て数値に置き換えることが可能だからです。
つまり「何が勝利に結びついたか」を分析することで、「勝つためにどんな選手が必要か」を明らかにすることができるのです。

セイバーメトリクスからポジションの向き、不向きも判定し、チーム内でポジションのコンバートをすることで、選手ひとりひとりの実力を十二分に発揮することも可能となります。

セイバーメトリクスの具体的指標

野球のポジションやレギュラーについて考えるとき、重要となってくるのは選手の実績、データです。
以前は「打率」「打点」「防御率(※)」などが主な評価の対象でしたが、セイバーメトリクスが本格的に導入されたことで、選手の評価基準は一変しました。
※【防御率=(自責点×9)÷投球回】参考数値:2018年の巨人「菅野智之」投手の防御率が2.14で防御率トップ(規定投球回以上)

例えば抑え投手であれば、「K/BB」と「WHIP」などの数値が重要視されるようになってきました。
この2つがどういった要素から算出されるか、下に計算式を記載します。
(参考:https://1point02.jp/op/index.aspx

・K/BB=奪三振÷与四球
1個フォアボールを出す間に、いくつ三振が取れるかを示した数値です(制球力を示す指標。1イニングは三振3つ取れば終わりなので、3.5を越えると優秀と言われる)。
上記数値の優れている投手は、パフォーマンスが継続する傾向にあります。

・WHIP=(被安打+与四球)÷投球回
イニング平均どれだけランナーの出塁を許したかを表す指標です。
平均は1.20〜1.40程度が平均的で、値が小さいほど安全な投球をしているということになります。

現代野球ではピッチャーの評価において、「個人の制球力(K/BB)」や「安定したピッチング(WHIP)」を示す数値が重要な要素を占めています。

セイバーメトリクスから2名の抑え投手を分析する

2018年王者で、2019年も1位を保持している王者「ソフトバンクホークス」(2019年7月5日現在)。
ソフトバンクの強さはどこにあるのか、セイバーメトリクスの観点から分析してます。

シーズンセーブ記録保持者「デニス・サファテ」投手。
彼の凄い理由はどこにあるのでしょうか。
日本記録を更新した2017年の数値を見てみたいと思います。

  
K/BB(個人の制球力)
WHIP(安定したピッチング)

デニス・サファテ
10.2
0.67

通常3.5を超えると優秀と言われるK/BBが、10.2!
驚異の制球力を持っていることがわかります。
WHIPの数値を見てみると、なんと1イニングに0.6人しかランナーを出していないことが見て取れます(0.6人なんていないので、2イニングを投げてようやく1人ランナーが出るということ)。
防御率1.09は納得の数値です。
「ランナーを出す=サヨナラの危険」がある最終回において、いかに上記の数値が大切か、野球に詳しい皆さまでしたらお分かりかと思います。
サファテ投手はその上でシーズン66試合、66イニングに登板したというのですから、手に負えません(66イニング登板で失点は9!)。
野球は通常9回ですが、抑えピッチャーが登板するのは1イニングのみです。
つまり、抑えが登板する時点でチームが1点でも勝っていれば、高確率で勝利を収めることが可能ということです。

では対して、2017年4位に終わった巨人の抑え「アルキメデス・カミネロ」投手について見てみましょう(2017年成績参照)。

  
K/BB(個人の制球力)
WHIP(安定したピッチング)

アルキメデス・カミネロ
2.83
1.25


K/BBの数値は2.83と、かなり制球に乱れがあるのが見て取れます。
WHIPは1.25と、抑えでありながら1イニングに1人以上の出塁を許しているということになります。
通算57試合、63イニングに登板していますが、防御率は2.42。失点は21です。

2名の抑えピッチャーの比較をしましたが、上記数値がチームの勝率にいかに大きく関わっているかがわかります。

セイバーメトリクスと一緒に、野球観戦をもっと面白く


いかがでしょうか。
現代野球ではセイバーメトリクスの重要性がどんどん拡大しています。
今までは脚光を浴びなかったような選手も、今後は勝利に大きく貢献するような場面が多く見られるようになるかもしれません。
データからプロ野球を見ることで、今まで以上に野球に熱を入れて楽しむことができるのではないでしょうか。
セイバーメトリクスで算出された選手情報は、スマホアプリ【野球速報】でも見ることができます。
ご参考までに・・・
とりあえず今夜はお酒を片手に「選手名鑑」を熟読したいと思います。

※おまけ
2013年楽天イーグルス優勝の年、「田中将大」投手の数値を見て見ましょう。

  
K/BB(個人の制球力)
WHIP(安定したピッチング)

田中将大
5.72
0.94


K/BBの数値は3.5を越えると優秀と判断されますので、田中将大投手は抜群の制球力を持っていると判断できます。
WHIPに関しての平均は1.20〜1.40程度とされていますので、安定度も群を抜いていることがわかります。

田中将大投手は、ご存知のように抑えの投手ではありません。
それにも関わらず、抑え投手と比較しても圧倒的に良い数値を誇ります。
2012年の優勝はチーム力で勝ち取ったことは明らかですが、田中将大投手が優勝の原動力となったのは紛れもない事実でしょう。

※引用元の記事の主張と、本記事の主張内容は関係ありません
[執筆:ハル・クムラ
[最新更新日:2019年7月23日]