以前、BIGDATAMEDIAでご紹介させていただいた日本酒アプリ『さけのわ』。
~日本酒アプリ「さけのわ」がビッグデータを解析~ はこちら
ユーザーが上げた日本酒の情報を共有したり、味や現在地から好みの日本酒を検索できる機能を持つ、非常にユニークなアプリです。
ユーザー数は現在2万5千人を超え、さらに拡大を続けています。

今回は、そんな人気日本酒アプリ『さけのわ』の開発者、上田明良(うえだ・あきら)様にインタビューをさせていただきました。

写真左:カール・リング(弊社インタビュアー) 写真右:上田明良様

アプリ開発のきっかけ

-本日はお越しいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします。

-アプリ開発のきっかけを教えていただいてよろしいですか?
『さけのわ』のリリースを始めたのが2013年ですが、そのときに私が日本酒に少し興味を持ったんですね。
それまでももちろん飲んだことはあったんですけど、好んで飲まなかったし、知らなかったんですよ。少し飲んでみたらすっごく美味しくて。でも別の機会にまた飲もうと思って、前美味しかったけど何飲んだかな、となってしまって。
また飲んでも美味しいけど、何飲んだか全然わからない。興味はあるのに知識も増えない、もっと色々勉強したいな、と思って記録するアプリを作ったのが始まりですね。

-すぐに開発に入ったのですね。
自分で使いたくて作ったので、とにかく早かったですね(笑)。私は『Foursquare』という、飲食店などのスポットを発見したり、友達とチェックインしたりできるアプリが好きで、友人に『Foursquare』のビール版とも言える『Untappd』というアプリを教わったのです。まさにこれの日本酒版を作ろうと思ったんですね。



クラフトビール好きにおすすめ!アプリ「UNTAPPED」を使ってみよう”]

-その当時世の中に日本酒のアプリはなかったんですか?
ありましたが、私もエンジニアですから『もっとこうだったら良いのに』っていう思いがあって開発したんですよ。ただ『Untappd』というお手本はありましたが、日本酒のアプリを作るとなると色々と考えないといけないことが出てきました。
例えば日本酒は銘柄や蔵元の情報がたくさんありますので、それらの情報をどのようにまとめるかで悩みましたね。

開発を行う上でのハードル


-アプリはどのくらいの期間で開発されましたか?
ios版を4ヶ月ほどで作って、Android版をそのあとに作成しました。

-開発に当たって、どのようなハードルがありましたか?
すごく考えて作ったのは、入力を簡単にすることです。このアプリはお酒を飲んで使うものなので、難しいと使ってもらえません。データとしてはどんな料理と合わせたか、お酒はどのくらいの温度だったかなど聞きたいことは色々とありましたが、そこは堪えて、とにかく簡単に使ってもらえるようシンプルな作りを心がけました。

『さけのわ』とビッグデータの関わり


-ビッグデータに目を付けたきっかけは?
元々はビッグデータをやろうとは考えていませんでした。ただ、2013年にアプリをリリースしてから3年間ほど経ったところで、蓄積されたデータを使って何か楽しい表現ができないかなと考えました。ビッグデータのPJTを始めたのは2016年です。

-具体的にビッグデータでどういうことができるようになりましたか?
2017年にユーザーコメントを解析して、お酒の特徴を抽出、各銘柄の味わいを数値化(データ化)することを始めました。ユーザーが入力した情報から形態素解析を用いて単語を抽出し、キーワードの頻度を解析してフレーバータグを付けました。日本酒の銘柄毎の数値化したデータを持つことで、例えばこのお酒とこのお酒のどこが似ているから、それぞれの特徴に近いお酒をユーザーに提案する、といったような、様々なことができるようになりました。

-ひとつのお酒でも様々な分類がありますが、各銘柄で特に分類がされていないのはなぜでしょう?
アプリを作るとき、どうやってデータをモデリングするか悩んだポイントでした。全ての商品を入力しておいてユーザーがそれを選ぶ形にするのも一つの手段ですが、それだとわかりにくいですよね。例えば日本酒『十四代』に興味を持って銘柄を検索したときに、分類がいっぱい出すぎると日本酒が難しいものだと感じてしまいます。簡単に入力してもらうためにも、とりあえず『十四代』という形で記録してもらって、もしやりたければ『純米吟醸』といったものをタグとして追加できるようなシステムにしたんですね。当初はそういう仕様にして正解だったと思っていますが、次のステップに進むためには、今後そういう商品毎のデータも扱いたいとは思っていますね。

-チャートをこの6項目にしたのはどういった理由からですか?
内部ではもっと細かいタグ情報を持っているのですが、タグはパッと見わかりにくいんですよね。その点レーダーチャートだと見た目にわかりやすい上、フレーバーサーチでチャート形状が似ているものを提案できるというメリットがあります。ここまでで『さけのわ』のビッグデータのチャレンジとしては大分完成したと思うのですが、2018年の1月終わりにリリースした機能がすごく受けて、ネットでも話題になりました。

-それはすごい。どのような機能ですか?
フレーバーチャートを製造地域ごとにまとめた機能です。やっていることは銘柄ごとのデータを表示しているものを、地域ごとのデータの平均の表示にしたものだけど、やはり皆、自分の住んでいる地域のお酒がどのようなものか気になるようで、この機能によりアプリの認知度が上がり、ユーザー数も増加しました。

【ネットでの反応はこちら】LiquorPage
https://liquorpage.com/sakenowa/?fbclid=IwAR3UNhxlD1pccvAfT9J9-VPtaZ86hriSfI7Qy7sY6c55ltvjkR-k_mUdOnA

都道府県別の日本酒の特徴がチャートでわかる!「さけのわ」がデータを公開

-なるほど、『さけのわ』にとって大きな契機となったのですね。今のユーザー数はどのくらいですか?
ユーザー登録数は2万5千人ほどで、DL数はもっと多いはずです。

-お酒の種類はどのくらい登録されていますか?また、投稿記事の件数もわかれば是非。
ユーザーがどんどん登録できるので把握しきれていませんが、現在4,000〜10,000種類はあると思います。投稿記事自体は15万件を超えています。それだけあると、処理をかけると色々と面白いものが得られます。

-ビッグデータを活用したことでのメリットは、他にどういうものがありましたか?
今までお酒の味は、専門家や酒屋さんが表現してものを活用して売るのが普通だったけど、さけのわが表したデータは、もちろんユーザーに専門家の方や詳しい方も多いでしょうけど、全体からすればより消費者に近いところのユーザーだと思うのです。つまり、消費者に近い評価と言えます。専門家の評価でなくても、多くの味の情報が集まることで、それが消費者が一番感じている味なんだと説得力をもって表すことができたことは大きなメリットです。
詳しい方のコメントも、すごく参考になるし面白い。その中には、私も応援させていただいている方もいます。その一方で『さけのわ』が狙っているのは、自分がかつてそうであったように、日本酒に興味がでてきたけどあんまり分からないという方です。そういった方々にいっぱい使ってもらいたいと思っているんです。だから始めのうちはお酒の感想でそんなに難しいことを書かなくてもいいし、本当に『美味しい』で十分なので、気軽に使ってもらいたいんですよ。

『さけのわ』次のステップ

-今後の展望、さけのわとしての次のステップについて教えていただけますか?
日本酒業界はどんどん新しい消費者を開拓したいし、それは日本酒業界の課題でもあります。『さけのわ』もそこをお手伝いできればと思っています。当時の自分のような方が楽しんで使ってもらえるような場にしたいと思っています。『さけのわ』の一機能として、どの地方のお酒を飲んだかによって、日本地図の各地域に色が付いていくものがあります。一種のゲーム感覚ですね。


-旅とともに日本酒巡り、みたいな感じにもなりますね。本当に上田さん自身が楽しんで使っているのがわかります。
そうですね、私自身もすごく使っていますから、今後ももっと楽しい機能を実装して公開していきたいですね。もっと積極的にユーザーの好みを把握して提案していけると面白いですし、日本酒について詳しくない方に、『こんな日本酒はどうですか?』と提案するような、ディスカバリーの部分も強くしていきたいです。

-現在『さけのわ』は無料で提供されていますが、どうやってマネタイズしているのですか?
マネタイズは『さけのわ』にとってすごく重要で、課題なんです。これからどうしようか、というのは考えています。アフィリエイトとか販売はひとつの方法とは思っていますけど、何かをユーザーに買っていただくということが、ユーザーにとっても素晴らしい体験に繋がると思うのですよ。タイムラインで美味しそうなお酒を見たら欲しいじゃないですか。それを『さけのわ』から買えるようにしたいです。」

-それは楽しそうですね!アプリを有料化する、という考えはありませんか?
ユーザーから使用料を取ろうとは考えていません。それよりは、日本酒に関わる様々な人、例えば蔵元さんも消費者がどのような感想を抱いているか知りたいと思うんです。それは『さけのわ』を見てもらえれば知れますが、そのあたりをこちらがもっとサポートしていけるかもしれないし、酒屋さんとか居酒屋さんとかいろんな方に絡んでいただきたいと考えています。
-『さけのわ』が英語にも対応していたのが嬉しいですね。2ヶ国語にした理由などもありますか?
海外市場が重要だというのも一つありますし、せっかくアプリを作るので色々な人に使ってもらいたいというのもあって、英語をちょっと書けば使ってもらえるチャンスも広がるのかな、という理由で作っています。現在でも英語で使ってもらっているユーザーの方もいらっしゃるので、そこをどうやって拡大していけるかについては、現在考えているところです。
-日本に来る外国人の方は日本酒を体験したいという人も多いですし、是非このアプリを使って欲しいと思いましたね。観光客とかにおすすめしていければ良いですよね。

今後の展望

-ビッグデータは、今後どのように社会に役立てられると思いますか?
『さけのわ』の経験で言えば、専門家以外の意見はただの普通の人の意見になってしまいますが、ビッグデータを使うことで信頼性のある意見として出すことができます。数値化したものを『さけのわ』みたいにグラフ化することもできますし、そういった意味でひとつの活用方法だと思いますね。
-ビッグデータならではの信頼感のある数値を出せるのも大きな役割ですね。

-最後の質問です。上田さんのおすすめのお酒を教えてください。
たくさんあるんですけど、今だったら『春霞(はるかすみ)』という秋田のお酒ですね。『さけのわ』で集めたデータでは、秋田県は華やかなお酒が多いと出まして、実際『春霞』も華やかなお酒です。ただ華やかなだけではなく、ちゃんと旨味や味わいもあって、飲みやすいお酒です。人によって好みはありますが、純米吟醸が飲みやすいのでおすすめですね。

-お酒が好きで日本酒のコミュニティを広げたい、という上田さんの思いがアプリに伝わって、丁寧に作られた大人の遊べるアプリと感じます。『さけのわ』をきっかけに、日本酒愛好者の輪がもっともっと広がっていくと楽しいですね!今後も応援させていただきます。
本日はありがとうございました。

さけのわ
https://sakenowa.com

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[執筆:ハル・クムラ
[最新更新日:2019年10月19日]