実在しない人の画像をAIで生成

2019年2月、「This Person Does Not Exist」(この人物は存在しない)
というウェブサイトが一部界隈で話題になった事はご存じでしょうか。

こちらへアクセスすると顔写真のみが表示され、
リロードの度に写真が切り替わるだけのサービスに見えるのですが、
実はこの画像自体がビッグデータに関わっていると言うのです。

どういうこと?

一見どこかの記念写真からの切抜き、もしくはポートレート写真かと思える顔写真、
これら全てが「実在しない人物の写真」との事。

このサービスを公開したのは、日本国内でもサービス展開されているUber(ウーバー)のソフトウェアエンジニアであるPhillip Wang氏。

「教師なし学習」において使用される人工知能アルゴリズムである「敵対的生成ネットワーク(GAN)」を用いて顔画像を生成しており、そのペースはなんと2秒ごとにランダムな顔を生成出来る仕様となっているそうです。
コードの公開元がNVIDIAの研究者だと言うので、このスペックも納得です。

敵対性生成ネットワーク(GAN)とは

さて、このGANに関してですが、
人工知能の注目トレンド「GAN:敵対的生成ネットワーク」とは | ROBOTEER
にて解説が纏められているので引用させて頂きます。

GANは、「ディープラーニング(Deep Learning)」という本の著者でもあるイアン・グッドフェロー(Ian Goodfellow)氏が考案したモデルで、いわゆる「教師なし学習(unsupervised learning)」である。

GANにはそれぞれ、ジェネレーター(generator)とディスクリミネイター(discriminator)という2つのネットワークが登場する。ジェネレーターは本物と同じような内容を作り出そうとする一方、ディスクリミネイターはレプリカか本物なのかを識別する役割を担っている。

GANではこのように、ジェネレーターとディスクリミネイターの学習が互いに進んでいく。最終的には、ジェネレーターが「教師あり学習」で使われるような訓練データと同じようなデータを生成できるようになると期待されている。

「敵対的」とついているので字面だけを見ると、物々しい印象もありますが、
・ジェネレーター(生成器)はディスクリミネイター(識別器)に見破られないような画像の生成能力を高める
・ディスクリミネイター(識別器)はジェネレーター(生成器)が生成した画像を見破る識別能力を高める
これらの相乗効果で結果的に今回のサービスのような言わば「本物に限りなく近い偽物」が出来上がる流れなのです。

今後の応用に期待

時折、時空が歪んでしまったような写真に出会う時もありますが、
生成される画像のクオリティはなかなかのもので、
GANのアルゴリズム自体は、人物の顔だけではなく、寝室・自動車・猫などの画像の生成にも応用できるのだとか。

ついつい「自分に似ている画像が出てくるかも」「知り合いに似ている画像が出てくるかも」とか思いながら更新ボタンを何度も押してしまう筆者でありました。

参考URL:
「This Person Does Not Exist」(この人物は存在しない)
https://thispersondoesnotexist.com/
[執筆:上床 鈴
[最新更新日:2019年2月27日]