ミステリー小説ツインドリーム第10話

(前号までのあらすじ)
 我孫子市に住む、銀行員である剛は、夢の中で一つの町を築き上げてきた。夢の中で町に現れる女性は、剛に何かを伝えようとしているように感じられた。町は実在するのではないかと考えた剛は、ネット検索のサイトに情報を募る記事を投稿した。
 横浜に住むOL美貴は、繰り返し見る夢に悩まされていた。町はどこかに実在し、何者かが夢によって何かを自分に告げようしているのではないかと美貴は考えた。そして、図書館の大縮尺の地図やネット情報から、美貴はついにあの町を見つけ出す。I町だ。
剛の投稿を偶然見つけた美貴は、そこでの進展が無いことにしびれを切らし、探している町がI町であることを書き込む。
剛は、あの町が現実に存在することに驚き、I町を訪れることを決める。

高速道路

 自宅を出たのは、朝の七時にはまだ数分を余す時間だった。県境を越えて茨城県に入り、谷和原インターチェンジから高速に上がった。
 七月に入ったばかりの常磐自動車道は、比較的空いていた。周りの車をさほど気にすることもなく走れそうだった。この分だと、ここから高萩インターチェンジまでの所要時間はおよそ一時間三十分ほどもみておけば十分だろう。
 車は、駅前のレンタカーショップで借りた黒のフィットだ。剛の家には車が一台あるだけなので、自分の一泊旅行のためにそれを使うわけにはいかなかった。
 晴天の道中は快適だった。ほとんど車線変更することもなくアクセルを踏み込んでいるうちに、目的地のインターチェンジまで着いたという感じだった。高速を下りたとき、ダッシュボードに埋め込まれた時計は八時半をほんの少し回った時刻を示していた。

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知っている町