ツインドリーム第13話

(前号までのあらすじ)
 我孫子市に住む、銀行員である剛は、夢の中で一つの町を築き上げてきた。その町に現れる女性が何かを伝えようとしていると感じた剛は、町は実在するのではないかと考え、ネット検索のサイトに情報を募る記事を投稿した。
 横浜に住むOL美貴は、繰り返し見る夢に悩まされていた。町が実在し、何者かが夢によって何かを自分に告げようしているのではないかと考えた美貴は、大縮尺の地図やネット情報から、ついにあの町を見つけ出す。茨城のI町だった。
 剛の投稿を偶然目にした美貴は、名を偽り、探している町がI町であることを書き込む。その書き込みにより、剛は、車でI町を訪れる。同じ日、美貴も電車で町を訪れたのだった。
 夢の中の女性に導かれるようにして向かった岩場で、剛はついに美貴と出会う。二人は、互いの経験を語り合うなかで、世にも奇妙な仮説が浮かび上がる。

8月お盆のカレンダー

「わたしは、十月に入ってから休暇を取ろうと考えてるの。暑い季節に旅行したりするの、あんまり好きじゃないし。で、辻野君はどうしたいの?」
 剛は、朝の打ち合わせの終わりに、同じチームの先輩である坂井の夏季休暇の予定を確認していた。二人だけの打ち合わせなので、自席で行っていた。デスクは左右に繋がっているため、椅子を互いのほうへ向けて少し回転させた状態だ。
「僕は、急で済みませんけど、来週一週間休みたいんです。構わないですか?」
 事前に、業務のスケジュールをチェックしてあった。もともと夏場は、業務が立て込む時期ではなかった。

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早めの夏休み