ミステリー小説ツイン・ドリーム

(前号までのあらすじ)
 我孫子市に住む、銀行員である剛には、幼い頃から見続けてきた夢があった。その夢の中で長い時間をかけて一つの町を築き上げてきた。夢の中に現れる女性は、何かを伝えようとしているように感じられた。剛は、ある日、偶然目にした雑誌の写真に衝撃を受ける。平成初期の風俗をとらえた写真は、夢の中の町のそれと酷似していた。町は実在するのではと考えた剛は、友人たちの助言により、ネット検索で情報を募ることになった。
 横浜に住むOL美貴は、繰り返し見る悪夢に悩まされていた。今や夢の内容は、おぞましい出来事へと発展していた。悪夢に悩む美貴は、夢が持つ意味について調べ始めた。そして、町はどこかに実在していて、理屈を超えて、夢が思いもよらない何かを自分に告げようしているのではないかと考えるに至った。

美貴が訪れた図書館

 翌週の土曜日の昼過ぎ、美貴は再び図書館を訪れていた。図書館は自宅とは駅を挟んで反対側に位置し、徒歩で二十分ほどの距離にあった。
 大手電機メーカー勤務の父は昨日から関西支社へ出張中で、母は親しい友人たちと朝から山梨のほうへ日帰りのバスツアーに出かけたため、美貴は朝から自宅にひとりの状態だった。
 美貴には四歳下の弟が一人いたが、二年前に札幌の大学に進学したため、現在は自宅を離れている。
 その日は、夕方七時に元町で短大時代の友だちと会う約束をしていたが、それまでの時間はとりたてて予定がなかった。
 冷房が効いた館内で、美貴は、用意してきた膝掛を白いワンピースの上に掛けていた。汗をかくのは嫌だけれど、かと言って、冷房も苦手だった。そういう時、夏というのは、厄介な季節だと思う。