ツインドリーム第8話

(前号までのあらすじ)
 我孫子市に住む、銀行員である剛は、夢の中で長い時間をかけて一つの町を築き上げてきた。夢の中に現れる女性は、何かを伝えようとしているように感じられた。町は実在するのではないかと考えた剛は、友人たちの助言により、ネット検索のサイトに情報を募る記事を投稿した。
 横浜に住むOL美貴は、繰り返し見る夢に悩まされていた。町はどこかに実在していて、何者かが夢によって何かを自分に告げようしているのではないかと考えた美貴は、図書館の大縮尺の地図から町の候補を三つ見つけ出す。
 いよいよ物語が始まった……

スケジュール帳

 次の週は、季刊誌発行の詰めの時期を迎えて、美貴のスケジュールはびっしりと埋め尽くされていた。
 ビッグデータビジネス社では、社外専門家による政治経済の記事を纏めた月刊のレポートと年四回の季刊誌を発行していた。季刊誌には、政治経済全般の記事に加えて、ビッグデータ事業についての記事を特集している。
 美貴は、次から次へと電子メールで送られてくる記事原稿と朝から格闘していた。記事として仕上げるまでには、記事中の引用や出典箇所に関しての著作権の面での確認や、字句の修正や校正などについて、執筆者と何度も連絡を取り、確認作業を繰り返さなければならなかった。
 相当に細かな神経を使う仕事なので一日が終わるとぐったりという状態だが、当分の間はこれが続くことを覚悟しておかなければならない。
 余裕のあるときと、仕事が集中するときとが時期によってどうしてもできてしまう。仕事とはそういうものだと考えるようになっていたし、また、それは悪い面ばかりでもないと、美貴は思っていた。忙しいときもあれば、暇なときだってあるのだから。
 平準化には限界があった。一度、アウトソーシングを試したこともあったが、かえって無駄な手順が生じたこともあって、現在はすべて内製化していた。
 この分では三つの市町について調べるのは、週末まで待たなければならないだろう。この時期は残業は避けられないし、日中、根を詰めて業務を処理しているため帰宅してから調べるだけの気力が残されているような状態ではなかった。