ツインドリーム第9話

(前号までのあらすじ)
 我孫子市に住む、銀行員である剛は、夢の中で一つの町を築き上げてきた。夢の中でその町に現れる女性は、剛に何かを伝えようとしているように感じられた。町は実在するのではないかと考えた剛は、友人たちの助言により、ネット検索のサイトに情報を募る記事を投稿したが、有益な情報は得られなかった。
 横浜に住むOL美貴は、繰り返し見る夢に悩まされていた。町はどこかに実在していて、何者かが夢によって何かを自分に告げようしているのではないかと考えた美貴は、図書館の大縮尺の地図から町の候補を三つ見つけ出す。その中にあの町があった。実在したのだ。

スマホでサイトに訪れる様子

 その後も、日に一度は、質問を投稿したサイトを訪れていたが、新たな書き込みは二日前に一件あっただけだった。能登半島の東側にあるS町が似ているというものだった。
 確かに、剛の夢に現れる町との共通点が少なくなかった。ただ、町全体の配置がかなり違っていた。
 剛の頭の中では、このサイトで手掛かりになるような情報を得ることについての期待はすでに薄れていた。そろそろ終わりにしようと考えていた。
 この数日間、夢の中の町で剛は例の女性と毎日のように会っていた。一緒にドライブに出かけたり、海辺の岩場に腰掛けて語り合ったりして時間を共にしていた。まだ、岩場の具体的な場所は分からなかった。町とは繋がらないままだった。
 夢の中では親しみのこもった眼差しを交わしていながら、ひとたび目が醒めると、やはり顔立ちについての記憶は跡形も無く消えているのだった。それに、彼女の声はこれまでと同じく聞くことすらできなかった。

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謎の女性